『 問われて名乗るもおこがましいが、生まれは遠州浜松在。十四の時から親にはなれ、身のなりわいも白波の、あけをこしたる夜働き、盗みはすれど非道はせぬ、…六十余州にかくれのねえ、義党張本日本駄右ヱ門。』
『さて其の次は江の島の、岩本院の稚児上り、ふだん着なれし振袖から、まげも島田に由比ヶ浜、うちこむ波にすっぽりと、女にばけてつつもたせ、…鎌倉武士と肩書きの、島に育ったその名せえ、弁天小僧菊之助。』
『さてどん尻にひかえしは、潮風あらきこゆるぎの、そなれの松のまがりなり。仁義の道も白河の人となったる浜育ち、夜舟にのりこむ舟盗人、…覚悟はかねてしぎ立つ沢、しかしあわれは身に知らぬ、念仏ぎれえの南郷力丸。』
これは、歌舞伎「弁天娘女男白波 稲瀬川勢揃いの場」の台詞です。
日本駄右ヱ門:八代目松本幸四郎・弁天小僧菊之助:十七代目中村勘三郎・南郷力丸:十七代目市村羽左衛門の名調子が、昭和37年(1962)11月発行のソノシート付き「かくし芸に強くなる本」(現代芸術社)に録音されています。
残念ながらこの名調子は、著作権法があるのでインターネットにUPしてお聞かせすることができません。
私が、まだ小学校の頃だったと思います。
母に連れられて歌舞伎座で観た「鈴ヶ森」の『お若いのまたせえやし』『待てとおとどめなされしは、みどもがことでござるよな』の台詞と殺陣の場面が印象強く残っていました。
昭和37年 私が15歳の時、「かくし芸に強くなる本」のソノシートに、その「鈴ヶ森」の台詞が録音されているのを知って買ったのでした。
そして、「弁天娘女男白波 稲瀬川勢揃いの場」もソノシートに録音されていました。前出の役者3名の台詞の名調子を何度も聞き、一生懸命その台詞を覚えて真似をしました。ですから、いまでも時々口を衝いてその台詞が出てきます。
写真をクリックして「かくし芸に強くなる本」の表紙を見てみましたか?
「サラリーマン出世虎の巻」とあり、「いよいよ宴会のシーズン。なにげなく披露したあなたのかくし芸が、出世の糸口になることだってあるのです。」と書いてあります。
47年前とは時代が変わってしまいましたから、いまどきこのようなかくし芸をしても誰にも受けません。覚えたかくし芸も本当に隠し芸になってしまいました。
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コメント
佐藤様
いつも大変お世話になります。
拝見させていただくのが遅くなりましたが、ブログの再開おめでとうございます。うまく表現が出来ませんが無事再開をされてほっとした気分です。生意気だととらえられないでいただきたいのですが、何もマンネリなんて思われることはないと思います。むしろ私はいつも楽しく拝見をさせていただいております。佐藤社長の髪の毛と同じく”継続は力なり”とブログを続けていらっしゃる事も私自身とても関心をさせていただいております。
引き続き日記を楽しみに拝見をさせていただきます。
ありがとうございます。
LRJ国定
国定LRJ さん
ご心配をお掛けしました。これからも応援して下さい。